亡国のイージス

原作:  福井 晴敏
監督:  阪本 順治


キャスト:  真田広之, 寺尾聡, 中井貴一, 佐藤浩市
        勝地 涼,  吉田栄作,  谷原章介,  安藤政信
        原田義雄
     
ストーリー

訓練航海に向かっていた海上自衛隊の護衛艦イージス艦上で
クーデター事件が起きる。副艦長宮津(寺尾聡)がなぞの工作員
ヨンファらとはかって「いそかぜ」をのっとったのだ。彼らの目的は1リットルで東京を全滅できる化学兵器。そして交渉相手は日本

 反乱軍は乗組員を全員排除するが、先任伍長の千石恒史が一人、艦に戻り、決死の戦いを挑むのだが・・・。

 

面白い映画は当然と言っていいが、素晴らしい台本(原作)がある。
亡国のイージス」は、今をときめくミステリー作家 福井晴敏の作品を映画化したものです。
さすがのストーリーで息を尽かさぬ展開、狭い自衛艦内で、誰が犯人なのか、スパイは誰なのか、首謀者の目的は・・・と、すっかりひきこまれてしまいます。
 首謀者ヨンファは(中井貴一)北朝鮮の工作員であることを想像させますが、彼が日本人の甘さを鋭く指摘する場面が、特に心にズキッと突き刺さる気がしました。
イージス」とは、ゼウスが娘アテナに与えた邪悪を払う「無敵の盾」のことだそうです。

我々日本人の中で、わが国日本をどのくらいの人が意識しているでしょうか・・・。私もそうですが、危機意識もない、平和ボケ、愛国心もほとんどない・・・こんな民族世界中でも珍しいんじゃないでしょうか!!
 「語るべき未来も見えず、守るべき国家の顔さえ失った「亡国のたて」に、意味があるのか・・・」という言葉に思わずうーんと納得してしまった瞬間からこの作品にすっかりひきこまれてしまった私です。

ちなみに2時間の枠がある映画ではストーリーが描ききれていないので、原作を読んでみることをおすすめします。  自分のことしか考えていない若者たち、彼らがささえる未来に待つものは何?不気味の存在である北朝鮮、この話がフィクションだとは言えない現実が、今そこに迫っているそんな気がする作品でした。

ここで福井晴敏氏を少し紹介しますね。
1998年 「Twelve.Y.O」で江戸川乱歩賞を受賞、 1999年 「亡国のイージス」で、大薮晴彦賞、日本推理作家協会賞など、受賞。 2003年 「終戦のローレライ」で吉川英治文学新人賞など、受賞。
そうそうたる経歴です。ここ1,2年で「戦国自衛隊1549」 「 ローレライ」 「亡国のイージス」と、3本の映画化がされています。   

             私的採点   ガツーンと見ごたえで8.5



次は正反対の映画「恋する神父」の紹介で〜す!