原作: 小川洋子
監督: 小泉嵩史
キャスト 寺尾 聡 深津 絵里 吉岡 秀隆 斉藤 隆成 浅岡 ルリ子
ストーリー
交通事故で脳に障害を受け、80分しか記憶がもたない数学博士のもとへ、
10歳の息子を連れたシングルマザーの家政婦、杏子が派遣されてくる。
今まで何人もの家政婦が来たのだが、誰一人として続かなかったのだ。
毎日を、数字と向かい合う奇妙な暮らしを紡ぐ博士との暮らしは、杏子にとって、
何もかも驚きの連続だった・・・。
映画は、吉岡 秀隆演じる、√(ルート)というニックネームの数学教師が、教室で生徒を前に自己紹介をする場面から始まる。 ルートという名前をつけてくれたある数学博士と、その家に母親が家政婦として働き始めたいきさつ・・・ルートの由来、そして数字や、数式の思いもかけない深い意味
とつとつと語る吉岡 秀隆のなんともいえない優しい声が、見ている私達の気持ちまでやさし〜い気持ちにさせてしまう。 とても不思議な気分の映画でした!!
まず、冒頭の博士と、杏子の会話 「初めまして。」と挨拶する杏子に
「君の靴のサイズはいくつかね?」
「 24です 」
「ほお、実に潔い数字だ。4の階乗だ」
毎日、博士宅を訪れると、この会話から始まるのだ。なにしろ記憶は80分、毎日が初対面なのだから・・・。
映画では、数字の話が散らばっている。それがまたとてもロマンチックなのです。
数字の話にロマンを感じたのは、私生まれてはじめてかも!!
ルートの解釈も、すごくステキです。博士は杏子の10歳の息子をとても可愛がり、息子に語ります。
「君の名前はルートだ。√はどんな数字でも嫌がらずに、自分の中にかくまってやる
実に寛大な数字なんだよ」 と・・・・
一言で映画の印象を表すと・・・静謐・・・清らかで静か。博士流で言うと「実にいい作品だ」かな!?
映画を見てる間じゅう感じていた気分なのですが、こんな印象の映画、なかなかありませんよ。
外へでない博士を杏子が連れ出して、桜の下を歩く場面、博士が始めて子供たちの野球の試合
を見に行くシーン、ルートと博士のキャッチボール、一つ一つの場面が感動的です。
表面に出ていない深い悲しみが(博士の過去や現実)見終わったあとにじんわりきました。
キャストは抜群でした。博士役の寺尾 聡、杏子役の深津 絵里、大人になったルート役の吉岡くん
ほんとぴったし!!見に行ってよかったです。是非、原作も読まなきゃ!
私的採点 10点 (ひじょ〜に地味な映画ですが、いい気持ちにさせてくれた)