監督: クリント・イーストウッド     133分

キャストヒラリー・スワンク (マギー)
     クリント・イーストウッドフランキー       
     モーガン・フリーマン(スクラップ)
とあるボクシングジムの老トレーナーフランキーのもとに、ある日ボクシングを教えてくれとひとりの女性が訪ねてくる。女にボクシングは教えないととりあわないフランキー
それでも、こつこつ貯めたお金を月謝として差出し、彼女はジム通いを始めるのだが・・・

今年2005年のアアデミー賞4部門獲得、主演女優賞をマギー役のヒラリー・スワンク助演男優賞を、元ボクサーで、今はジムの雑用係のスクラップ役のモーガン・フリーマン、ボクシングトレーナーのフランキー役のリント・イーストウッドに、監督賞作品賞の栄冠が与えられた。
日本での上映は少し遅れてこの6月から・・・・待っていました!
 
 家族の愛や世間でいう幸せに遠いところに住む孤独な2つの魂がボクシングをとうして通い合い、愛と信頼で結ばれてゆく・・・。マギーはもう31歳若くはない。13歳の頃からウエイトレスをしてお金を貯め、ボクサーになる夢を持っている。フランキーも、一人で生きてきた寂しい人間だ。一人娘に手紙を出し続けているのだが・・・返事の一通も返ってこない。一生懸命なマギーを最初は拒否するが、ほだされてトレーナーを引き受けてしまうことになる。 厳しい言葉と態度でマギーに接するが、断絶している娘の面影をマギーに重ね合わせたのだろう・・・
少しづつ心通わせてゆく過程が、さりげなく、しかし絶妙に描かれていて、胸がしめつけられる感じだでした
 マギーは連戦連勝でメキメキ強くなり、2人は世界にうってでる。ここのあたりが2人の一番ハッピーな時だ。
「ファイトマネーで家を買え」と、フランキーにアドバイスされ、マギーは離れて暮らす家族のために家を買ってプレゼントする。トレーラー暮らしの母親と妹に喜んでもらおうと・・・。でもマギーの愛は裏切られる。母の冷たい言葉に傷ついた彼女は帰りの車の中でフランキーに言うのだ。 「私にはもう、誰もいない」と。   「俺がいるじゃないか」と静かに答えるフランキーこのシーンがとても、とても良かった!

 2人にとって思いもかけない悲劇が起こる。最後の試合になるドイツの選手との戦いで、相手の反則パンチで
マギーはこん倒する。そのあとのストーリーは、本当に言葉もない。全身マヒの自分の状態をあるがまま受け止め、マギーは後悔の言葉も吐かず、まして人や運命を呪わず、静かに微笑んでさえ居るのだ。

それはマギーが最後にフランキーの魂と触れ合ったから?もう一人じゃないから?人としての愛にめぐり合ったから・・・。だから最後に全てを彼に賭けたんだろう。そしてきっとフランキーが彼女の望みをかなえて天国に送ってくれる事を確信していたんだろうと・・・私は思いました。究極の愛情(男女ではなく強いて言えば父と娘の)でしょうか・・・。
フランキーはその後、姿を消すのですが、そのまま生きてはいけないでしょうね。喪失感は
ものすごいものでしょう。運命の残酷さに涙せずにはいられませんでしたが、その中にすこしばかりの救いがあったのは、マギーの生き方にせよ、死を選んだことにせよ、純粋さと潔さに溢れているからでしょうか!?短いけれど一生懸命生きた。人生の価値はその長さではないともいえます。いや、言うしかないのかも。
 最後にフランキーの良き友。マギーの理解者そしてこの物語の語り部として良い味だしているモーガン・フリーマンの名演技はいわずもがなです。
名監督といわれるクリント・イーストウッドだけあってほんとにほんとに、素晴らしい映画でした。
ミスティック・リバーよりずーっと良かったです

   私的採点         10点満点で〜す。

ミリオンダラー・ベィビィ